家計調査から読み解く、いま求められる保険提案

高橋 浩史
2026.05.07

 4月に公表された総務省の家計調査(令和8年2月分)によると、二人以上世帯の消費支出は前年同月比で実質1.8%減少していました。物価上昇の影響もあり、家計の引き締め傾向が続いていることがうかがえます。
家計は「節約一辺倒」ではない
 支出の内訳を見ると、すべての支出が一様に減っているわけではなく、一部の項目には増加も見られます。例えば、保健医療サービスへの支出は9か月連続で増加しており、健康や医療への支出が高水準で推移しています。一方で、自動車・通信や教育費などは減少しています。

 家計は単純な節約ではなく、支出の優先順位を見極める動きが見て取れます。つまり、「使うところには使い、抑えるところは抑える」という、支出のメリハリ志向が強まっているということです。

 こうした支出行動は、保険営業においても提案のあり方を見直すヒントになりそうです。消費者は「とにかく節約している」のではなく、「必要だと感じるものには支出する」という選別を行っているといえます。

 この視点から考えると、保険も単なる固定費として削減対象になるのではなく、「必要性が伝われば選ばれる支出」に変えることができます。特に医療保障や介護、老後資金に関する備えは、こうしたニーズと親和性の高い分野といえるでしょう。
営業のヒントは「家計全体のバランス」にある
 収入を見てみると、勤労者世帯の実収入は増加しているものの、税金や社会保険料といった非消費支出もあるため、実際に自由に使えるお金には制約があります。そのため消費者は家計全体のバランスを意識しながら、固定費の見直しを進める傾向にあります。

 こうした状況では、保険を「毎月なんとなく払っている支出」としてではなく、「家計の中で意味のある支出」として認識してもらうことが重要です。営業現場では、「現在の保険料は家計全体の中でどのくらいの割合か」「医療費や万一の支出に対して、どのように備えているか」といった問いかけにより、顧客自身が自分の家計を見直し、保険の必要性を主体的に捉えるきっかけをつくることができます。

 物価高が続く中、支出の選別が進み、「必要なものにはしっかりお金を使う」という傾向はより明確になっています。家計調査のような客観的なデータは、「多くの家庭が同じように悩んでいる」という共感を生み、提案に納得感を持たせる材料にもなるでしょう。
参照:
高橋 浩史(たかはし・ひろし)
FPライフレックス 代表
日本ファイナンシャルプランナーズ協会CFP®
1級ファイナンシャル・プランニング技能士

東京都出身。デザイン会社などでグラフィックデザイナーとして20年活動。 その後、出版社で編集者として在職中にファイナンシャル・プランナー資格を取得。2011年独立系FP事務所FPライフレックス開業。 住宅や保険など一生涯で高額な買い物時に、お金で失敗しないための資金計画や保障選びのコンサルタントとして活動中。 その他、金融機関や出版社でのセミナー講師、書籍や雑誌での執筆業務も行う。
ホームページ http://www.fpliflex.com
ブログ http://ameblo.jp/kuntafp/

▲ PAGE TOP