令和8年10月から
カスタマーハラスメント対策はすべての事業所で義務化に

津路 伸江
2026.09.24

1.カスタマーハラスメントとは
 最近、コンビニやスーパーの入り口、レジ付近で「NO!カスタマーハラスメント」「カスタマーハラスメント防止にご協力を」などと書かれたポスターを見かけるようになりました。カスタマーハラスメント(以下「カスハラ」と称す)が意識されはじめています。

 カスハラとは、「職場において行われる顧客等が行う、社会通念上許容される範囲を超えた言動により、労働者の就業環境が害されるもの」を言います。

 顧客等とは、商品の購入者やサービスの利用者のほかに、取引先の担当者(いわゆるBtoB)や、施設(駅、病院、学校、公共施設等)の利用者なども含まれます。

 「社会通念上許容される範囲を超えた言動」とは、商品やサービス等と全く関係のない要求や、暴行や傷害といった身体的な攻撃、暴言・侮辱などの精神的な攻撃、長時間の居座りなどの拘束的な言動が挙げられます。

 つまり、顧客等の言動によって、労働者が身体的・精神的な苦痛を与えられ、就業環境が不快なものとなり、能力の発揮に重大な悪影響が生じる等、労働者が就業するうえで看過できない程度の支障が生じることが問題です。
2.事業主に求められるカスハラ対策のポイント
1.事業主の方針を明確化してその内容を周知・啓発すること
 カスハラには毅然とした態度で対応し、労働者を保護する旨の方針を明確化し、労働者に周知・啓発する。加えて、当該事業でのカスハラとはどういうものかを洗い出し、その内容とそれを受けた場合の対処をどうするか、マニュアル等を作成する。これらは、すべての労働者がいつでも確認できるよう、社内報、パンフレット、ポスターなどの文書で示す。研修、講習会を実施する。
2.相談体制の整備
 相談窓口をあらかじめ定め労働者に周知し、あわせて、相談窓口担当者が適切に対応できるようにすること。現場での対応を個人に任せない仕組みづくりが必要。
3.事後の迅速かつ適切な対応
 カスハラが生じた場合は、事実関係を迅速かつ正確に確認し、被害を受けた労働者に対する配慮措置として行為者からの引き離し等を行う。その後、すみやかに再発防止対策を検討、周知する。
4.カスタマーハラスメントの抑止のための措置
 特に悪質と考えられるカスハラへの対処として、警察への通報、行為者に対する警告文の発出を具体的に定めて周知し、対処できる体制を整備する。
5.その他、1~4と併せて講ずべき措置
 相談者のプライバシーを保護するための措置や、相談したことを理由とした不利益扱いはしないこと等を周知、啓発し、実践する。
3.職場の安全対策は事業主の義務です
 事業主は、労働者に安心安全な職場を提供することが責務です。どのような事業でも必ず相手方、取引先は存在します。そのため、すべての事業主が対策を講じなければならないのです。事業主がカスハラへの対策方針を示すことは、労働者の精神的な負担軽減と安心して働ける職場環境づくりにつながります。
《参考資料》
厚生労働省「事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等に」ついての指針
厚生労働省「令和8年10月1日から、カスタマーハラスメント対策、求職者に対するセクシャルハラスメント対策が義務化されます」
津路 伸江(つじ・のぶえ)
津路社会保険労務士事務所 代表
特定社会保険労務士
1級ファイナンシャルプランニング技能士

平成9年、横須賀にて津路社会保険労務士事務所設立。
地元企業の顧問を務め、労働・社会保険手続き、その他各種相談業務を行う。
労働基準監督署、社会保険事務所(当時)で受付等に従事。
労働講座の講師を8年、消費者センター主催の年金講座を10年務める。
平成28年、埼玉県北本市に事務所を移転。
年金事務所および街角の年金相談センター等で約15年、年金相談業務に従事。
各種検定業務の検定委員等を務める。

公式サイト:https://www.ntsuji-sr.com/office.html

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