新たながん治療「BNCT」は自由診療特約の対象?

高橋 義人
2026.09.28

 皆さんは、「BNCT」という治療をご存じでしょうか。正式名を「ホウ素中性子捕捉療法」といい、京都大学複合原子力科学研究所(旧京都大学原子炉実験所/大阪府泉南郡熊取町)において、1970年代ごろから研究用原子炉を用いて研究が進められてきた革新的ながんの治療方法です。
BNCTの仕組みとメリット
 BNCTは、原子炉等から発生する中性子と、腫瘍細胞に取り込まれたホウ素との核反応を利用して、正常細胞への影響を抑えながら、腫瘍細胞を選択的に破壊する治療法です。おおよその仕組みは以下の通りです。

 アミノ酸とホウ素を結合させた化合物を投与すると、多くのアミノ酸を必要とする腫瘍細胞は、ホウ素化合物を選択的に取り込みます。そして、腫瘍にホウ素が集まったタイミングで中性子線を照射すると、ホウ素化合物をほとんど取り込まない正常細胞はさほどダメージを受けませんが、ホウ素を取り込んだ腫瘍細胞ではホウ素と熱中性子が核反応を起こし、発生したヘリウム核(アルファ線)とリチウム核が腫瘍細胞を破壊します。発生した粒子の飛距離は10μm(マイクロメートル)以下で、細胞1つ分程度にとどまるため、正常細胞への影響を最小限に抑えることができます。こうした特徴から、生活の質(QOL)の維持も期待できます。

 現在、保険適用となっているのは「切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌」です。保険診療で治療を受けることができる医療機関は下記の2つです。このほか、臨床試験等でBNCTを受けることができる施設もあります。
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南東北BNCT研究センター(福島県郡山市八山田七丁目10番地)
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関西BNCT共同医療センター(大阪府高槻市大学町二丁目7番地)
自由診療でBNCTを受けるには
 このBNCTについて、自由診療による治療が行われている施設があります。その1つが江戸川病院(東京都江戸川区東小岩二丁目24-18)です。ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、積極的に放射線治療に取り組んでいる病院です。

 がん種を限定せず「放射線が届く範囲(おおむね深さ6cm以内)」にある悪性腫瘍を治療対象としており、手術・放射線治療・化学療法などの標準治療が無効、またはそれらの治療を希望しない患者さんを受け入れています。ただし、肝・腎・骨髄機能が保たれていることや、遠隔転移をしていないことなど、治療を受けるには条件があります。

 同院でのBNCTは治療の選択肢の1つになる可能性がありますが、自由診療として行われているため、治療費は全額自己負担となります。日本居住者の場合、治療費は税込みで440万円程度です。ただし、見込み金額であり、ケースによって異なるため注意が必要です。
BNCTは「自由診療特約」の対象となるのか?
 さて、この治療費は、いくつかの保険会社が販売している「自由診療特約」の支払い対象になるでしょうか。現状は、保険会社により対応が異なります。自由診療を保障する特約の中には、「所定の病院」「特定病院」「対象病院」などで行われる自由診療を支払いの対象とする商品がありますが、その病院の要件は保険会社や商品によって異なります。ご自身がお取り扱いになっている商品について確認してみてください。

 今回は、「新たながん治療『BNCT』は自由診療特約の対象?」についてお話しさせていただきました。
高橋 義人(たかはし・よしひと)
株式会社M&Fパートナーズ 代表取締役
一般社団法人 健康事業支援機構 医療コーディネーター
ユニバーサルライフ株式会社 執行役員 東京第2支社長

1988年明治大学卒業後、外資系大手生命保険会社に23年間勤務。静岡・埼玉・大阪にて支社長を務め、2011年に独立。
その後、「がん治療とお金」のコンサルティング会社を設立し、現在に至る。
医療コーディネーターとしてがん患者と向き合い、患者目線に立った治療に関する情報提供・病院紹介・治療紹介・病院へのアテンド等の患者支援活動の傍ら、セミナー講師としてがん患者の目線に立ったがんに関する様々な講演を、日本全国で毎年150回以上行っている。
ホームページ https://mfpartners.co.jp

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