えっ!また豪雨災害!どうすればいいの!?

水谷 力
2026.09.28

水害リスクの現状と意識のギャップ
 近年、台風や線状降水帯による集中豪雨により、全国各地で想定外の浸水被害や車両の水没が多発しています。河川の氾濫だけでなく、都市部などでは排水能力を超えた雨による内水氾濫も起こります。「うちはハザードマップの浸水想定区域に入っていないから大丈夫」、「これまで被害に遭っていないから大丈夫」とは言い切れません。豪雨災害は多くの地域で備えておくべきリスクといえるでしょう。

 では、保険で備えるとすればどうすればよいのでしょうか。
1.「火災保険における水災補償の点検」が必要
 火災保険の補償内容において、水災リスクへの備えは見落としやすいポイントの一つです。「火災保険」という名称から、火災だけを補償する保険と思われがちですが、水災も補償対象とすることができます。ただし、加入している火災保険が水災の補償がない契約内容になっているケースもありますので、一度確認しておく必要があります。その際は、「保険料が安くなる」という理由だけで水災の補償を除外するのは避けた方が良いでしょう。居住地域のハザードマップなどを確認し、「浸水想定区域に該当するか」「浸水の可能性があるか」などを踏まえて、水災補償の必要性を検討しましょう。

 さらに、家財の補償も見落としがちです。水災では建物だけでなく、家具・家電・衣類などの家財が広範囲に損害を受けます。ですから、「家財についても補償されているか」「保険金額に過不足がないか」などを確認することが大切です。特に、近年は在宅勤務の普及もあり、パソコンや周辺機器などの高額な家財が増えています。そのような場合は、家財の評価額や保険金額が適正か否かなどを見直す必要があります。

 また、豪雨災害の際は避難生活が長引いたり生活再建に時間を要したりすることが少なくないため、生活費など諸費用の補填を目的とした臨時費用の補償の有無も確認しておくとよいでしょう。火災保険には、避難時の仮住まいの費用や応急処置の費用を補償する特約もあり、被災時には大きな助けとなります。
2.「自動車保険の点検」が必要
 車は仕事や生活の足となりますが、家計にとっては高額な資産といえます。水没して全損となった場合、買い替えやローンの残債の返済で家計に大きな打撃を与えかねません。実際、「まだローンが残っているのに車が全損になってしまった・・・」という声も聞かれます(ちなみにこの場合、車は廃車になってもローンの返済は必要です)。

 時々誤解を耳にしますが、自宅の車庫で車が水没しても火災保険では補償されません。また、車の水没は自賠責保険でも補償されません。さらに、自動車保険に加入していても対人・対物賠償責任保険、自損事故保険などでは補償されません。

 補償されるのは、自動車保険に車両保険を付帯している場合です。車両保険には、単独事故や当て逃げも補償される「一般型」と、範囲を限定した「エコノミー型」があります。台風や洪水、高潮などの水災による損害は、基本的にエコノミー型でも補償対象に含まれることが多いですが、念のため契約している保険商品で補償されるか確認しておくといいでしょう。

 ちなみに、大雨や洪水などによる水没で保険を使った場合は、等級は1等級のダウンとなります(通常の交通事故は3等級ダウン)。

 車両保険の加入率は2025年3月末時点で全国平均47.4%と半数近くが未加入ですが、近年は電気自動車やハイブリッド車の普及により、水没時の修理費が高額化する傾向があります。したがって、車両保険の必要性は従来よりも高まっているといえます。是非、加入を検討しておきたい補償です。保険料が気になる場合は、免責を設定することで保険料を軽減することも可能です。
3.検討のポイント
(1)
補償内容の確認:ご自身の火災保険や自動車保険の補償内容を正確に把握します。何が補償されて、何が補償されないか、保険金はいくらまで支払われるかなどです。ご自身だけで把握できない場合は、加入した保険会社、代理店などに確認します。
(2)
キャッシュフローへの影響:もし自宅が床上浸水し、車も水没した場合、数百万円単位の臨時支出が発生する場合があります。例えば、住宅ローンの返済が残っている場合、それに加えて修理費などが必要となれば負担が大きくなります。このようなリスクを金額面で試算し、貯蓄だけでは対応できない部分を保険でカバーすることを検討します。
 「自分が住んでいる地域は大丈夫」という思い込みをいったん脇に置いて、自宅、家財、車などの財産ごとにリスクを洗い出し、それに備える保険を検討する。それが、豪雨が珍しくなくなった時代に求められるリスクマネジメントではないでしょうか。
【参考情報】
生命保険の募集人の方は、上記のような損害保険の話から生命保険の話につなげることも可能です(詳しくは以下の書籍が参考になります)。仮住まいの費用や等級ダウンの話題からのアプローチトークも収録されています(第2章 アプローチの実践<個人編>「第1話 共同住宅の上階からの水もれ事故、仮住まいのためのホテル代はどうなるの?」、「第9話 自動車保険の満期更改時に保険料がアップ!そんな時こそ生保営業のチャンス!」)。
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水谷 力(みずたに・ちから)
株式会社セールス手帖社保険FPS研究所
社会保険労務士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士
組織開発コンサルタント

大手保険会社在職中にFP資格やコーチング資格等を取得。現在は各種執筆活動などをおこなっている。著書には、「違いを生み出すファーストアプローチ」「違いを生み出す生損保リスクチェック」(いずれもセールス手帖社保険FPS研究所)がある。

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