部下から課長への呼びかけ方も、時代とともに変化する

庄司 英尚
2026.11.02

「課長」呼びは微増傾向で6割超え、「課長さん」呼びは少数派
 文化庁では、日本人の国語に関する意識や理解の現状について調査し、国語施策の参考とするため、平成7年度から毎年「国語に関する世論調査」を実施しており、今年は10月2日に令和7年度の調査結果を発表している。今回は全国の16歳以上の日本国籍を有する6,000人に調査票を郵送し、3,777人から回答があった。ここでは調査結果の中から、職場に関係のある項目を取り上げる。

 「会社の課長に部下が呼びかけるとき、どの呼び方が一番望ましいか」という質問に対しては、「課長」と答えた人が最も多く6割以上(62.9%)を占め、次いで「名字にさんを付ける」が25.5%、「課長さん」が6.4%であった。

 時代の移り変わりとともに個人の価値観は変化するものであり、さらに勤務先の社内風土の影響もあることを踏まえたうえで、過去の調査データと比較してみるのもよいだろう。
出典:
令和7年度「国語に関する世論調査」の結果の概要
名字にさん付け、30年間で3倍に
 調査方法が途中で変更になっているため、過去の調査結果と今回の調査結果を単純に比較することはできないが、部下が課長に呼びかける際、「名字にさん付け」で呼ぶ人は平成8年度はわずか8.8%であったが、それから約20年後の平成27年度には16.0%に増え、さらに10年後の今回の調査では4人に1人(25.5%)が役職名ではなく「〇〇(名字)さん」と呼ぶようになっており、約30年間で約3倍に増加しているというのは大きな変化といえるだろう。

 一方で「課長さん」という呼び方は、平成8年度の27.2%から令和7年度の6.4%へと4分の1以下に減少しているわけだが、結果的に「課長さん」呼びから「〇〇さん」呼びに移行したように見受けられる。
年代別では、「〇〇さん」呼びは20代が最多で42.5%
 呼びかけ方を年代別でみると「課長」を選択した人の割合は、60代が約7割(70.8%)と他の年齢層より高くなっており、一方で20代は46.8%と一番低かった。「名字にさん付け」の人は、20代が42.5%で他の年齢層より高くなっている。「課長さん」は70歳以上が15.3%で他の年齢層より一番高くなっている。このような年代別傾向にも注目したい。

 性別でみると、「名字にさん付け」は男性28.7%、女性22.7%で男性のほうが高く、「課長さん」呼びは男性4.9%、女性7.6%で女性のほうが高かった。

 企業規模に関係なく、上司も同僚も役職名を使わずにフラットに「〇〇さん」と呼び合う「さん付け運動」が浸透している企業も結構あるようだ。最近は社内チャットで頻繁にやりとりをすることも増えており、職場環境が大きく変わっている点も見落としてはいけない。また、令和の時代においては心理的安全性という点から考えても、役職名よりも個人を示す「〇〇さん」呼びのほうがふさわしいので、一度社内で議論してみるのがよいだろう。
参照:
庄司 英尚(しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、アイウェーブ社労士事務所 代表
社会保険労務士 人事コンサルタント

福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。

公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/

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