マイナンバーカードを使った確定申告の方法

田中 一司
2024.02.29

進む確定申告の利用環境の整備
過去の記事(No.4449)でも取り上げたが、e-TAXによる確定申告に関して、その利用環境の整備が進み、以前に比べて利便性が増している。

 例えば、スマートフォンを使って確定申告をすることができ、医療費控除などの還付申告であれば、比較的簡単に申告書を作成し、確定申告を行うことができる。しかし、個人事業主の場合や会社員が副業を行っている場合などは申告に必要な書類も多く、スマートフォンではなくパソコンを使って申告書を作成したいところである。

 ここで問題となるのがマイナンバーカードの読み取りである。従来はICカードリーダーをパソコンに接続し、マイナンバーカードを読み取る必要があった。ICカードリーダーはそれほど高額ではないが、個人ではマイナンバーカードを読み取る以外に利用する機会はあまり思いつかない。もちろん交通系ICカードを読み取り、利用履歴を確認するなどの利用方法もあるが、個人で利用するメリットはあまりないと考えられ、わざわざICカードリーダーを購入するのもためらわれるところである。

 実はe-TAXではこの点に配慮されており、マイナンバーカードの読み取りに対応したスマートフォン(最近日本で発売された機種の多くが対応していると思われる)であれば、ICカードリーダーの代わりになる。これはe-TAXというよりは、マイナポータルがスマートフォンによる読み取りに対応しているので、e-TAXに限らず、他にも利用できる手続きがある。

 e-TAXの場合の具体的な方法であるが、パソコンのe-TAXのログイン画面に「マイナンバーカードでログイン」というボタンがあり、これをクリックすると、ICカードリーダーかスマートフォンのどちらを利用するか確認する画面になる。そこで、スマートフォンを選択すると画面にQRコードが表示される。このQRコードを、スマートフォンのマイナポータルアプリで読み取ると、スマートフォンがICカードリーダーの代わりになる。

 QRコードを読み取ったあとは、指示に従ってスマートフォンにマイナンバーカードを読み取らせれば、パソコン側でログインが完了する。ログイン後は、確定申告書や付属書類などをパソコンで作成できるようになる。

 筆者の体感によるものだが、紙の申告書を提出した場合と、e-TAXを利用した場合とでは後者のほうが、処理速度が速いと思われる。また、税務署の開庁時間にかかわらず申告を行うことができるなど、e-TAXの利点は多岐に渡る。事務の省力化のためにもe-TAXの利用を検討してみるのも良いだろう。
(セールス手帖社 田中一司)

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