夫婦の年金~振替加算~
2024.07.18
前回(No4678)は、加給年金についてお伝えしました。今回は、加給年金とセットにされている振替加算についてご説明します。
手厚い給付の振替加算とは
配偶者の老齢厚生年金や障害厚生年金に「加給年金額」が加算されている場合、対象になっている人が65歳になると加給年金は終了しますが、その人(加給年金対象者)が老齢基礎年金を受給する場合、配偶者によって生計を維持される等の一定の要件を満たすと、その人の老齢基礎年金に振替加算が加算されます。
Aさん夫婦を例にご説明します。Aさん(夫)は1959(昭和34)年4月生まれで65歳になりました。妻は1964(昭和39)年4月生まれで60歳です。Aさんは42年間会社に勤務し、65歳で退職しました。Aさんが老齢年金の請求をしたところ、年下の配偶者(妻)がいるため、加給年金という家族手当が、妻が65歳になるまで受け取れると聞きました。
さらに、妻が65歳になると加給年金は終了しますが、妻の老齢基礎年金に振替加算という給付が加算されるとのことです。妻は結婚前に5年間会社勤務し、その後は専業主婦です。パート仕事はしていますが、夫の扶養範囲内です。このように、対象となる配偶者の厚生年金保険の加入期間が20年に満たない場合が振替加算の受給要件のひとつとなります。
ただし、同じような条件の人であっても、配偶者が1966(昭和41年)4月2日以降生まれの場合、振替加算は加算されません。これは1986(昭和61)年4月1日から国民年金が強制加入になったことに由来します。
1966(昭和41)年4月1日以前生まれの人は、強制加入前に20歳になっています。つまり、強制加入前に国民年金に任意加入でもしていない限り、20歳から60歳になるまでの40年間において未加入期間が残ってしまい、満額の老齢基礎年金は受け取れません。全員が満額の老齢基礎年金を受給できるように作られた第3号被保険者(基礎年金)制度も1986(昭和61)年4月1日からスタートしているため、その時点で20歳以上であった人を救済する仕組みが振替加算という制度なのです。
Aさん夫婦を例にご説明します。Aさん(夫)は1959(昭和34)年4月生まれで65歳になりました。妻は1964(昭和39)年4月生まれで60歳です。Aさんは42年間会社に勤務し、65歳で退職しました。Aさんが老齢年金の請求をしたところ、年下の配偶者(妻)がいるため、加給年金という家族手当が、妻が65歳になるまで受け取れると聞きました。
さらに、妻が65歳になると加給年金は終了しますが、妻の老齢基礎年金に振替加算という給付が加算されるとのことです。妻は結婚前に5年間会社勤務し、その後は専業主婦です。パート仕事はしていますが、夫の扶養範囲内です。このように、対象となる配偶者の厚生年金保険の加入期間が20年に満たない場合が振替加算の受給要件のひとつとなります。
ただし、同じような条件の人であっても、配偶者が1966(昭和41年)4月2日以降生まれの場合、振替加算は加算されません。これは1986(昭和61)年4月1日から国民年金が強制加入になったことに由来します。
1966(昭和41)年4月1日以前生まれの人は、強制加入前に20歳になっています。つまり、強制加入前に国民年金に任意加入でもしていない限り、20歳から60歳になるまでの40年間において未加入期間が残ってしまい、満額の老齢基礎年金は受け取れません。全員が満額の老齢基礎年金を受給できるように作られた第3号被保険者(基礎年金)制度も1986(昭和61)年4月1日からスタートしているため、その時点で20歳以上であった人を救済する仕組みが振替加算という制度なのです。
厚生年金保険は手厚くなっている
Aさんのように、厚生年金保険に20年(240月)以上加入していると加入年金が加算され、妻は振替加算を受給することができ、老後に受け取る年金は手厚くなります。ただし、共働き世帯でお互いが厚生年金保険に20年以上加入していると、配偶者が65歳になるまでの期間は加給年金が受給できたとしても、20年以上厚生年金保険に加入している配偶者に振替加算は加算されません。
この振替加算も、あと7年すると新たに対象となる人がいなくなる制度です。年金は「夫が外で働き、妻が家庭を守る」という考え方から生まれているように感じます。共働き夫婦が多い現在では、年齢差による手当は見直される可能性があります。老後の年金はお互いが長く働くことによってリスクに備えることが大切ではないでしょうか。
この振替加算も、あと7年すると新たに対象となる人がいなくなる制度です。年金は「夫が外で働き、妻が家庭を守る」という考え方から生まれているように感じます。共働き夫婦が多い現在では、年齢差による手当は見直される可能性があります。老後の年金はお互いが長く働くことによってリスクに備えることが大切ではないでしょうか。
参考:
三角 桂子(みすみ・けいこ)
社会保険労務士法人エニシアFP 代表社員
FP・社会保険労務士
大学卒業後、公務員、専業主婦、自営業、会社員、シングルとあらゆる立場を経験し、FPと社会保険労務士として開業し、5年目に法人化(共同代表)。
FPと社会保険労務士の二刀流を強みに、法人・個人の労務、年金の相談業務やセミナー、執筆など、幅広く行っている。
常に自身の経験を活かし、丁寧な対応を心がけ、生涯現役に向かって邁進中。
法人名はご縁(えにし)に感謝(ありがとう)が由来。
公式サイト https://sr-enishiafp.com/
FP・社会保険労務士
大学卒業後、公務員、専業主婦、自営業、会社員、シングルとあらゆる立場を経験し、FPと社会保険労務士として開業し、5年目に法人化(共同代表)。
FPと社会保険労務士の二刀流を強みに、法人・個人の労務、年金の相談業務やセミナー、執筆など、幅広く行っている。
常に自身の経験を活かし、丁寧な対応を心がけ、生涯現役に向かって邁進中。
法人名はご縁(えにし)に感謝(ありがとう)が由来。
公式サイト https://sr-enishiafp.com/