えっ?子どもの運転する自転車と乗用車の衝突事故で、子ども側の過失割合が10割?

水谷 力
2024.12.23

乗用車の衝突事故で子ども(自転車)側の過失割合が10割となった裁判例も
 子どもが自転車に乗ることが多い家庭では、自転車で転んで子ども自身がケガをすることも心配ですが、子どもが自転車事故の加害者となってしまうケースも心配です。

 もし、他人(被害者)にケガなどをさせてしまった時は、損害賠償の問題が発生します。この時の損害賠償の金額は、医療費や収入の減少分の損害などを合わせた総損害額と、事故の当事者の過失割合に応じて決まります。事故の状況によりますが、過失割合が、自分が8割、相手が2割の時は、8割を賠償しなければなりません。例えば、歩道で自転車が歩行者とぶつかった場合は、自転車側が大きな責任を負うと考えられます。なぜなら、歩道では歩行者が優先だからです。

 また、裁判例の中には、赤信号を無視した10歳の子どもの運転する自転車と乗用車の衝突事故で、子ども(自転車)側の過失割合が10割となったケースもあります。
損害賠償の主な項目は?
 損害賠償責任が発生した場合、損害賠償額は、医療費、収入の減少分、慰謝料に分けられます。主な項目は以下のとおりです。
項 目 内 容
医療費
医療機関に支払った費用
医療機関などへの通院交通費
入院に伴う雑費
介護費用(将来の見込含む)
収入の減少分
休業による収入減
後遺症による逸失利益
慰謝料
入院期間や後遺症の程度により算出
賠償リスクに備えるには?
 それでは、このような賠償リスクに備えるには、どのような方法があるのでしょうか?実際に自転車事故による約1億円の高額の賠償事故も発生していますので、備えは怠りなく行っておきたいものです。

 最適なのが「個人賠償責任保険(特約)」に加入することです。個人賠償責任保険は、自転車事故に限らず、他人の物を壊したり、他人にケガをさせてしまった時などに、法律上の損害賠償責任を負担する場合に保険金が支払われます。

 保険金支払いの対象となる損害や主な費用は、次のとおりです。
被害者に対する損害賠償金(治療費、修理費、慰謝料など)
弁護士費用、訴訟になった場合にそれに要する費用、調停・和解・仲裁の場合にそれに要する費用
 一般的に個人賠償責任保険は、自転車保険のほか、自動車保険や火災保険、傷害保険などの特約としてセットで契約することができます。相手方との示談交渉サービス付(保険会社が示談にむけた交渉を行うサービス)の商品もあります。

 個人賠償責任保険は、一つの保険で家族(生計を共にする同居の親族など)が起こした事故を補償します。したがって、父親が傷害保険の特約として個人賠償責任保険を契約している場合、子どもが自転車事故で相手にケガをさせてしまった時の賠償責任も、父親の保険で補償できます。

 個人賠償責任保険は、各ご家庭に必須の保険と言えます。
【参考情報】
生命保険の募集人の方は、上記のような損害保険の話から生命保険の話につなげることも可能です(詳しくは以下の書籍が参考になります)。個人賠償責任保険の話題からのアプローチトークも収録されています(第1章第3話子どもやペットいる家庭のリスクは?)。
ご要望にお応えして改訂版登場。ますます売れています!
「違いを生み出すファーストアプローチ」
定価 1,760円(税込)
A4判/72ページ
https://www.fps-net.com/php/cms/cmsDtl.php?id=163&categorycd=0
水谷 力(みずたに・ちから)
株式会社セールス手帖社保険FPS研究所
社会保険労務士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士
組織開発コンサルタント

大手保険会社在職中にFP資格やコーチング資格等を取得。現在は各種執筆活動などをおこなっている。著書には、「違いを生み出すファーストアプローチ」「違いを生み出す生損保リスクチェック」(いずれもセールス手帖社保険FPS研究所)がある。

▲ PAGE TOP