年金の支給タイミングと金額の変更について

三角 桂子
2025.05.15

支払いは原則2カ月に1度の偶数月
 年金の給付は「毎年2月、4月、6月、8月、10月及び12月の6期に、それぞれその前月分までを支払う」と定められています。金融機関等に振込の場合、原則、上記の月(偶数月)の15日に支払われます。15日が土日または祝日のときは、その直前の平日に支払われます。

 ただし、あくまで原則であり、「前支払期月に支払うべきであった年金又は権利が消滅した場合若しくは年金の支給を停止した場合におけるその期の年金は、支払期月(偶数月)でない月であっても、支払う」とされています。
年金は後払い
 偶数月の15日には、原則、その前月・前々月の2カ月分の年金が支払われます。例えば、6月に支払われる年金は、4月分・5月分の2カ月分です。

No.4828では年金額の改定についてお伝えしましたが、年金額は物価変動率や名目手取り賃金変動率に応じて毎年度改定を行う仕組みとなっています。

 つまり、新年度の4月に年金額の改定が行われるのですが、実際に受給者の方に振り込まれる年金額が変わるのは2カ月後(原則6月15日)に支払われる年金からとなります。
年金額が変わるとき
 年金額は、自身の年金加入状況の変化や、配偶者の年金受給状況等により変わるときがあります。Aさんの事例をお伝えします。

 例えばAさんは7月11日生まれです。65歳到達時(誕生日の前日7月10日)に年下の配偶者がいて家族手当ともいうべき「加給年金」が支給されることになったとします(加給年金の要件は満たしています)。

 加給年金が支給される場合、Aさんの65歳到達時の翌月からとなります。Aさんは7月生まれですので、加給年金が支払われるのは8月分からになりますが、Aさんの手元に振り込まれる8月分・9月分は原則10月15日に支払われることになります。

 また、そこから数年経過し、Aさんの配偶者が65歳になったことで加給年金が停止となる場合、停止月が6月分からだとしたら、減額した年金が振り込まれるのも2カ月後(原則8月15日、6月分・7月分)となります。なお、年金額が変わる場合には、通知書が届きます。
働きながら年金を受け取るとき
 働きながら年金を受け取る方は、給与や賞与が変更になったことで年金額が変わることがあります。在職老齢年金制度によって年金額が調整されることがあるからです。在職老齢年金についてはNo.4642でご説明しましたが、2025(令和7)年度は、基準額が51万円です。賃金と年金額が基準額(51万円)を超えてしまうと、年金額の一部もしくは全額が支給停止されます。

 会社の役員の方や給与が高い方は注意が必要です。また、雇用契約等で給与額(総報酬月額相当額)が増減したことによって、年金額が変わることがあります。
まとめ
 年金額が変わる時は、日本年金機構から通知書が届きます。年金額が変更になって驚かれる方がいらっしゃいますが、通知書で変更箇所を確認しましょう。
参考:
三角 桂子(みすみ・けいこ)
社会保険労務士法人エニシアFP 代表社員
FP・社会保険労務士

大学卒業後、公務員、専業主婦、自営業、会社員、シングルとあらゆる立場を経験し、FPと社会保険労務士として開業し、5年目に法人化(共同代表)。
FPと社会保険労務士の二刀流を強みに、法人・個人の労務、年金の相談業務やセミナー、執筆など、幅広く行っている。
常に自身の経験を活かし、丁寧な対応を心がけ、生涯現役に向かって邁進中。
法人名はご縁(えにし)に感謝(ありがとう)が由来。

公式サイト https://sr-enishiafp.com/

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