「ねんきんネット」で年金額試算

森 義博
2026.06.01

「ねんきん定期便」と「ねんきんネット」の年金額
 前回(No.5036)もお伝えしたように、日本年金機構から毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」には「年金額」が記載されています。といっても、50歳未満は“これまでの加入実績に応じた”年金額なので、将来実際に受給する額とは多くの場合乖離があります。また、支給見込額が記載されている50歳以上でも、60歳ないし65歳以降も働き続けることによる年金額増額や在職老齢年金制度(在老)による支給停止は反映されません。高齢期のライフプランを具体的に立てる際に参考にするには十分とはいえないでしょう。

 一方、WEBで登録するというひと手間はかかりますが、同機構のWEBサービス「ねんきんネット」では、ずっと現実に近い年金額の試算が可能です。ちなみに「ねんきんネット」では年金額試算のほか、「ねんきん定期便」と同じ内容が閲覧できる電子版「ねんきん定期便」、年金振込、年金額変更、公的年金等の源泉徴収票などの確認、扶養親族の申告や年金受取機関の変更などの申請や届出がいつでも可能です。
文字どおり簡単な「かんたん試算」
 「ねんきんネット」には「かんたん試算」と「詳細な条件で試算」という2種類の試算方法が用意されています。

 「かんたん試算」はとても手軽です。これまでの年金加入状況をもとに自動的に年金額が算出されますので、ほぼワンクリックで試算結果が得られます。簡単でありながら優れており、例えば現在加給年金を受給中の場合は、受給が終わる年齢(配偶者の老齢年金受給開始)まで反映されるなど、可能な範囲で親切な設計がなされています。もっとも、これまでの加入実績をもとに現在の状況が60歳まで続く前提ですので、例えば、65歳までは現在の年収で働き、それ以降は軽い仕事に変わって70歳で完全引退などのような働き方の変化に細かく対応した試算まではできません。
ライフプランニングには「詳細な条件で試算」
 一方、「詳細な条件で試算」では、下表のような条件が設定できるので、自身が考えるライフプランにあわせた試算が可能です。
設定項目 内容
今後の加入制度
加入制度(厚生年金、国民年金)の加入期間を月単位で設定可能
厚生年金の場合、収入(給与、賞与)を千円単位で設定可能
※加入制度や収入を途中で9回まで変化させることが可能
受給開始年齢
老齢基礎年金、老齢厚生年金それぞれについて1カ月単位で設定可能
過去の国民年金保険料未納分の追納等
国民年金保険料、付加保険料の未納分の追納計画が設定可能
出所)
日本年金機構のホームページをもとに作成
 受給開始年齢の設定は「かんたん試算」でも可能ですので、「詳細な条件で試算」の一番のメリットは、給与や賞与を年齢に応じて細かく設定できる点だと思います。試算結果は棒グラフで示されます。そこには年金に加えて給与等の額も表示されていますので、年金と勤労収入を合算した金額が把握できます。在老を気にするほど給与が高くない場合や、厚生年金に加入しない働き方を想定している場合でも、ライフプランの可視化に役立つでしょう。

 詳細な条件を設定したい場合は、「ねんきんネット」の年金見込額試算のページに設けられている2種類の試算のバナーのうち「詳細な条件で試算」を選びます。ですが、「かんたん試算」の試算結果を見た後、そこから「試算条件を変更する」を選ぶことでも「詳細な条件で試算」のページに遷移できます。「かんたん試算」のバナーにも「はじめての方はこちらから」と書かれています。まずは「かんたん試算」の結果を確認して、いろいろ条件を変えてみたい場合には、その後で「詳細な条件で試算」に進むのもよいでしょう。「かんたん試算」には、ほとんど時間がかかりませんので。
参考:
森 義博(もり・よしひろ)
公益財団法人ダイヤ高齢社会研究財団 シニアアドバイザー
CFP®、1級FP技能士、1級DCプランナー、ジェロントロジー・マイスター
1958年横浜市生まれ。大学卒業後、国内大手生命保険会社入社、2001年から同グループの研究所で少子高齢化問題、公的年金制度、確定拠出年金、仕事と介護の両立問題などを研究。2015年ダイヤ高齢社会研究財団に出向し研究を継続。2024年4月から現職。
趣味はピアノ演奏と国内旅行(とくにローカル鉄道)。

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